オカルト・カルテ
「そうだった!
我輩は君に用があったのだよ」



「…え?」



レラジェさんが興奮した様子で
私の両手をぎゅっと握る。




「先日彼とシュトリ殿が
いきなり地獄にやってきたのだ。


何の用かと思えば
当主に会いに行くというではないか」



…やっぱり、サタンに会いに行ってたんだ……。



ごく、と息を呑むと
レラジェさんが続ける。




「しかし当主は面会を断られた。
まぁどのみち
彼は依白の姿だったから無駄だったのだがな」




「…そ、それで!
2人は今どうしてるんですか!?」



レラジェさんは少し驚いた様子で




「何も聞いていないのかね?
彼等はしばらく向こうで監視扱いの身となっているぞ」



「監視!?なんでそんな・・・」



不安そうな私にレラジェさんも動揺しながら続けた。




「いやいや、君が心配するような事態ではない。
単に、人間に使役されているという状況を調べたいだけなのだ。


むしろ危ないのは君のほうで・・・」



ハッ!とした顔をするレラジェさん。




「・・それって、どういう意味ですか?」





「・・・。すまない」




「これは彼等には内緒にしていろ、
と言われていたんだが・・」




話しにくそうな彼に私は急かすように



「・・ストラスが、そう言ったんですか?」



「・・ああ。
本来ならば君を魔界まで連れて行く予定だったんだが・・。


彼らが自らが代わりになるから、
詩織殿のことは諦めてくれ、と」



「え・・・」



「・・たいへん言いにくいことだが、
正直な話魔界まで君を連れて行ったところで
無事返してもらえる保証などない。


監視だけで済むとは到底我輩も思ってはいなかった」



・・それって、つまり。



2人が私をかばってくれたって・・・



「・・そんな・・・」
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