うしろの猫
わたし、お母さんに心配かけたくなかったから、友達と遊んでいたと嘘をついたの。

いじめっこに、蹴られたなんていったら、お母さん泣いちゃうかも知れないし。

それから携帯を切った後。わたし気づいたの、携帯のストラップが無い事に。

その携帯ストラップは、とても大切な物だったのよ。

亡くなった、わたしの大好きなお婆ちゃんが最後の旅行に行った時に、

わたしのために買ってきてくれたウサギの携帯ストラップ無くなっていたの。

きっと無くした所は、わたしがいじめっこに蹴られた、あの藪の所・・・


探しに行くかどうしようか、すごく迷ったわ。


だって、またいじめっこに出会ったら酷い目にあわされるかもしれないから。


殴られるのも、蹴られるのも、痛いし怖いから・・・


それに・・・もうひとつ気になる事があったの。


倒れた、いじめっこの様子を見ようと近づいたら、いじめっこが、気がつき慌てて逃げ出した時にね、わたし見たのよ・・・


いじめっこの後ろにいて、わたしを哀れむような目で見ていた100匹の黒い猫たちが、ものすごく怖い目で、いじめっこだけを見ていたのを・・・



赤い猫が、いじめっこに攻撃してから黒い猫たちが変わったのよ。


・・・あの100匹の黒い猫たちの目・・・



あの目は、いままでのような遠くで見ながら他人を哀れんでいるだけの目じゃ無かった・・・?



もっと強く、もっと暗く、もっと恐ろしい目・・・



・・・あの黒い猫たちが、怖い・・・



わたし、その時心底そう思ったの・・・
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