雨夜の月
‥朧月夜‥
嵐のリレーは、記憶の隅にも残らない程見ていなかった。
彼女の視線に気付いたことで、直視できなかったのだ。
「俺見てたか?なんて聞いてくるよ。あのバカは」
嵐を好きだった千里の解説付き。
砂埃やら乾いた汗やらで、体に気持ち悪さを残して、体育大会は終わった。
「行こっか」
千里と約束の駅へと向かう。
電車の中で、千里は念を押す様に言った。
「嵐と彼女は、まだ別れてないし別れるわけじゃない」
待ち合わせの駅で、嵐が来るのを待つ。
暫く待って、片思い気分が溢れてきた。
お互いに慕う気持ちはあっても、片思いには変わりない。
責める心と想う心が、同じ大きさで存在していた。
「嵐遅いね」
ふと顔を上げると、夕闇に灯りだす街灯が目に入った。
「約束忘れたかな?」
「まさか!」
千里は鞄の中から携帯を取り出して、嵐に電話を掛けた。
「ん?出ないな」
あの時、私を見ていた彼女の視線を思い出した。
「彼女と一緒かもしれないよ」
私は街灯を見上げたまま、力なく呟いた。
「ま、優先すべき立場だからね」
背中に千里の手を感じ、今此処にいる自分を情けないとさえ思った。
「もう少し待ってみようよ」
本当は、もう逃げてしまいたい。
この状況からも、自分の気持ちからも…。
彼女の視線に気付いたことで、直視できなかったのだ。
「俺見てたか?なんて聞いてくるよ。あのバカは」
嵐を好きだった千里の解説付き。
砂埃やら乾いた汗やらで、体に気持ち悪さを残して、体育大会は終わった。
「行こっか」
千里と約束の駅へと向かう。
電車の中で、千里は念を押す様に言った。
「嵐と彼女は、まだ別れてないし別れるわけじゃない」
待ち合わせの駅で、嵐が来るのを待つ。
暫く待って、片思い気分が溢れてきた。
お互いに慕う気持ちはあっても、片思いには変わりない。
責める心と想う心が、同じ大きさで存在していた。
「嵐遅いね」
ふと顔を上げると、夕闇に灯りだす街灯が目に入った。
「約束忘れたかな?」
「まさか!」
千里は鞄の中から携帯を取り出して、嵐に電話を掛けた。
「ん?出ないな」
あの時、私を見ていた彼女の視線を思い出した。
「彼女と一緒かもしれないよ」
私は街灯を見上げたまま、力なく呟いた。
「ま、優先すべき立場だからね」
背中に千里の手を感じ、今此処にいる自分を情けないとさえ思った。
「もう少し待ってみようよ」
本当は、もう逃げてしまいたい。
この状況からも、自分の気持ちからも…。