雨夜の月

‥一本道‥

翌日、やはり嵐には校門前で抜かれた。

いつものように、鞄を私に軽くぶつけてくる。


「昨日はありがとう」

「どーいたしまして」


もう、いちいち舞い上がったりしないと、強く思ったからか、軽く振る舞えた。

優しい笑顔を残して、嵐は颯爽と歩いていく。

見慣れた背中も、悲しい想いで見てるわけじゃない。


ずっとずっと、繋がっていれるなら、私は友達でいるよ…。

嵐を失わなくて済むなら、好きという想いに蓋をする。



教室では、思った通り千里が私を待ち詫びていて、姿を見つけるなり駆け寄ってきた。


「メール待ってたのに!!」


自分の持つ、気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいで、千里にメールするのを忘れていた。


「あ…ごめん!!」

「楽しく過ごせた?」

「…う…ん。いや、友達以上は無理だって、改めて思った」

「え?」

「もう、いいの」

「何で?どしたの?」

「友達でいたら、ずっと一緒にいられるから」

「…美月」


千里なら分かってくれる。

千里も私と同じ道を選び、今があるから。


私よりも泣きそうな千里の頭を、ポンポンと叩いて席に着いた。


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