君にティアラ
「豊さんじゃないの?」

あたしは真菜にコッソリ聞いてみる。

豊さんも東坂の生徒だ。

「ううん、豊は今日塾の日だし」

真菜は首を振る。

「果穂に会いに来た、昨日の人だったりしてー」

カバンを手に持って、楽しそうに真菜が言う。

「まさかー。有り得ないでしょ」

最後にケータイをカバンにしまって、席を立つ。

「でー、髪は黒なんだけどー、マジカッコいいの!」

クラスの女子の騒ぐ声。

< 24 / 213 >

この作品をシェア

pagetop