ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
ミナキくんは何も言わない。


沈黙が流れる。


「ミナキくん……?」


やっぱりダメかな、そう思って顔を上げた時、ミナキくんが震えているのに気付いた。


ミナキくんの顔を覗き込む。


「!」


思わず目を見開いた。


ビックリした……。


だって……だって……ミナキくんの顔、真っ赤なんだもん。


「……俺、動物園大好き」


「へ!?」


ミナキくんはボソッと呟くと、顔を上げてにっこり笑った。


「レッサーパンダの赤ちゃん、絶対可愛いだろうな」


そう言ってはにかむミナキくん。


「じゃあ……!」


「うん。

今週の日曜日にでも行く?」


や……やったあッ!


あまりに嬉しくてミナキくんに抱き付いてしまった。


「か……花梨!?」


「ありがとう、ありがとう、ありがとう……!

すっごく嬉しい!」


「……うん」


胸がドキドキと高鳴る。


うるさいくらいに大きな音を立てる心臓。


嬉しい……。


まさかミナキくんと動物園に行けるだなんて……。


「俺、動物園大好き」って言ってくれたのが、すごくすごく嬉しい。


ミナキくんは、動物園のこと“ガキくさい”って馬鹿にしないんだ……。


嬉しい。


どうしよう……。


私、どんどんミナキくんに惹かれちゃうよ……。


 
< 157 / 214 >

この作品をシェア

pagetop