拝啓、ばあちゃん【短編】
夏の思い出

1

アスファルトをジリジリと焦がすように照りつける太陽が、Yシャツの背中の部分をじっとりと湿らせていく。


ミナミの街のよどんだ空気は、そんな不快な気分に拍車をかけるように体にまとわりついてくる。


普段なら深い眠りについている午後4時過ぎ、俺はとある所に足を運んでいた。


横を通り過ぎる女二人が、俺を見ながらコソコソと耳打ちをする。


これでもかというほど巻いて盛った髪型、露出の高いドレス、定番のシャネルのバッグから、一目で同業者だとわかる。


そんな女二人は、わざと俺の耳に聞こえるような声で話す。


「sugarの優心やで!」


「マジで男前やん!」


俺は聞こえないふりをして、道路の脇に無造作に置かれた段ボールをぼんやりと眺めていた。


そう、俺はこのミナミでホストをしている。


入って2年になる店の不動のNO1であり、代表取締役なんていう肩書きを背負っている。


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