色あせた花



「…………。」

私は呆然と数学の教科書を、眺めていた。


教科書には、

【バカ】

【死ね】

【消えろ】


そして―…

【別れろ】

という文字が書かれていた。



「付き合ってないし……。」




「美花♪どしたの?
ぼーっとして。」

陵が後ろから、にょきっと顔を出してきた。


「やっ。な、なんでもないよー?」

私は慌てて数学の教科書を隠した。



でも、

陵は私の行動を見逃さなかった。


「んー?なんか今、隠したろっ!?」

「な、なんもないからっ!!」

「……嘘だぁ。見せろやぁっ!!」

陵は素早く、私の数学の教科書を奪ってしまった。


「あ……。」

「え……。」


沈黙が続く。










最初に口を開いたのは、陵だった。

「……ごめん。俺のせいだな……。」

陵はそう言って、どこかへ行ってしまった。




< 7 / 33 >

この作品をシェア

pagetop