ワケありSMごっこ
……創は地獄耳らしい。
放課後の旧音楽室に呼び出されたわたしは、
「俺のこと好きって女は物好きなんだよなぁ~? 実花紗ちゃん?」
少し埃っぽい床に……押し倒されている。
使われていない教卓に掛けられた布っきれ一枚の上に寝かされ、
四つ這いでわたしに被さった、不敵に笑う創の顔を見上げていた。
「……で? その物好きってのはどこのどいつだぁ?」
わたしの唇に息がかかるくらい近いとこに、
創の無駄に綺麗な顔がある。
「言わないつもり? ……なら、お預けだなっ」
冷たい顔した創が、素早くわたしから体を離そうとする。
まるでわたしに興味が無くなったかのような眼差し。
それが嫌で、
「わっ、わたしだよっ!」
慌てて口を開いたわたしは、きっとスゴい不安そうな顔だったハズ……。
それが創のドS心に火をつけてしまったらしい……。