紺色の海、緋色の空
「それで、ぜんたい僕は何に捕らわれてしまうと言うんだい」

試しに僕はバクに話しかけてみた。

十分待っても返事はなかった。

「やれやれ」

僕は諦めてため息をつき、今朝届いたばかりのシロナガスクジラの絵はがきをコルクボードにピンで止めた。


これで十枚目。

いつの間にか、早紀が死んでから十年が経っていた。

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