カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜

放課後の体育館

最初に体育館に来て正解だったなあ…!



先生に手招きされて、私は体育館の中に入った。



「扉閉めてな。」



先生に言われ、ゆっくりと扉を閉めて、先生のところに駆け寄った。



今、この広い体育館に先生と私、二人しかいないんだ…。



急にドキドキしてきたよ…。



「愛菜、よく俺がここにいるって分かったじゃん。」


先生は嬉しそうな顔をしていた。



「部活やってるかもって思って…。こっちに先に来てみたんです。でも、部活ないのに先生はどうして体育館にいたんですか?」



「ああ、それは…」



先生が倉庫に入るのに続いて私も倉庫に入った。



「ほら、クラスマッチの片付けをさっきまで生徒たちとやってたんだよ。で、ついでにと思って少し中を整理してたんだ。」


本当だ…。中は得点ボードやボールが綺麗に整頓されている。




“パタン”



ん…?


振り向くと先生が倉庫の扉を閉めていた。



「これで、体育館の扉を開けられても、すぐには分からないよな。」



ドキッ…



急激に心拍数が上昇してきた。



だって、体育館よりも狭いよ、ここ…。



「どうした?」



心配そうに顔を覗く先生にますますドキドキが早くなる。



“おめでとう”って言わなくちゃ…!




「せっ…先生!クラスマッチ優勝おめでとうございます!」



緊張で早口になってしまった。



「ありがとう。愛菜の応援のおかげだよ。」



え〜っ!先生、笑顔でそんなこと言われると嬉し過ぎて、心がどっかに飛んで行っちゃいそうだよ…!



< 185 / 264 >

この作品をシェア

pagetop