カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
あ……また涙が出てきちゃったよ……。



「愛菜、また泣いてる…。」



私の手を掴んで先生は胸の中に引き寄せてくれた。



「違うんだよ…。宏介の部屋に行って泣いた時とは、ちょっと違う涙だよ。」



「そっか…。」



先生は優しく声をかける。


「3年間過ごした校舎とお別れだし、友達とは今までみたいに会えなくなる…。それに宏介とだって…。そう思ったら、色んな楽しかった思い出が一気に溢れてきて…それで…。」




「寂しいんだろ…?前に泣いた時と一緒じゃん。」



頭を撫でながら、先生は耳元で甘い声でささやく。



「そうかなあ…?でも、卒業式の日は、やっぱり込み上げてくる想いがありますよ…。」



「特別な日だもんな…人生の節目だし…。」



先生は撫でていた手をとめた。



「でも、愛菜?俺たちは今日で終わるわけじゃないんだぞ?ここから始まるんだ…。」



「ここから…?」



「そう!俺たち両想いになって約1年。まだまだ二人の愛は続いていくんだからな…。だから……もう泣くな。」



先生に強く抱きしめられて、ますます涙が溢れてきた。



今の涙は悲しいからじゃないよ…。



嬉しくて涙が出てくるんだ…。



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