白き旋律

19.ふたつの「すき」

* * *

~From 紀紗


答えなんか全然出ないまま、新しい年を迎えてしまった。

玲に言われた時はなんだか自分でもピンときていないような気がしていたけど、考えれば考えるほど、私は分からないフリをしてたんじゃないかって思ってきた。

司のことを「すき」だと思う気持ちは、恋愛の「すき」だったってことを認めてなかっただけなのかもしれないなって。


失ったとき、あんなに悲しかったのは

自分も一緒に死んでしまいたいとまで思ったのは

司のことを本当に好きだったからだったんだ。



こう素直に思う自分がいた。


でも、分からないこともあった。

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