捨て猫に愛をください
PM7:45
「うあっ…痛っ!…あっ!!お兄ちゃ…やめてっ…」
鳴り響く鈍い憎しみの音。
掠れた悲鳴…。



嗚呼,神様。
捨て猫に愛をください…
神様ぁ…



「お兄ちゃ…」
「うるせえっ!!」
「───っ」
薄れる意識。
霞む視界にある兄…
ドス黒い形相。
まだらな茶髪…

神様ぁ……




PM8:26
高坂公園
「君…大丈夫?」
「あ……」
痩せた痣まみれの腕と足,腫れ上がった左頬。
半袖のワイシャツに標準より少し短い学校指定のスカート。
寒空の下。
真っ赤な遊具の上。
煙草と…甘い臭い。
腫れ上がった瞼を持ち上げて声の主を探す。
「あ。俺,テツ。…君は?」
「……カ…ナ…ミ…」
「…カナミ……」
やっと,重い瞼を上げて相手を見る。
日焼けした肌
少し短い金髪
細い金色の眉
見開いた茶色い目
ピアスがついた耳と口
がっしりした肩
その時,子猫の腹が鳴った。
ぐぅうぅぅ…
「あっ……」
子猫は寂しそうに腹を押さえた。
「腹減ってんの?」
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