捨て猫に愛をください
AM7:28
比較的,安いパンを2つ買う。
しかし食べ盛り育ち盛りのテツにはこれではまだまだ足りない。
テツは少し悩んでカフェオレを追加し,コンビニを出る。



外ではカップラーメンをすする不良たちがタムロしている。
「おう,テツ。お前またパンだけか」
「金無い」
「んだよ言えよー」
赤髪が目立つ1人がテツに千円札を握らせる。
「いらねぇって!」
「俺さぁー親が月に十万くれるからさ。正直使い道に困ってんだ。受けとれよ。」
平然とした顔で言う,最近知り合った同じ矢井田組のハイト。
喧嘩が強いとかで矢井田にスカウトされた実は金持ちの坊っちゃん。
矢井田は,自由気ままなハイトの性格も気に入ったようでいつも矢井田の左手を務めている奴だ。
「月,十万が小遣いって・・・」
テツは朝からクラクラした。
高校生の小遣いにしては多すぎる。
その割にはカップラーメンやら安そうなガムやらをよく食べている変わり者。
テツはそう思っていたが,この間,思いきってハイトに訊いてみて衝撃を受けた。

他人の過去なんて,幼なじみでもわからない部分があって当然。
17歳になって初めて知った奴ならなおさらだ。
何でも見た目で判断するのは相手に失礼だと,ハイトの話を聞いて思い知らされた。
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