―雪女郎― 凪雛
雪洞は立ち上がり、藤を女将に預けて、背を向けた。








走り掛けようとした時、ふと足を止めた。









「女将さん、最後に聞きたいことがありんす。」








女将には静かに耳を傾けた。








「母さんは・・・風華花魁は、夫を愛していたのでしょうか?」








「あんな仕打ちにあってしまったが・・・風華が選んだ男。きっと、風華にしか見えない部分があったんだ。」








「断言しよう。風華は、夫を愛していたよ。」









雪洞は、やわらかく微笑んだ。








瞳には再び涙を溜めて・・・








「娘を・・・お雪を、愛していたのでしょうか?」
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