わがままモデル王子は危険な香り
「こんにちは」

私は大きな花束を持って病室の扉を開けた

少しふくっらした桜稀さんが笑顔で私の顔を見てくれる

今日は桜稀さんのお見舞い

もちろんママには内緒
バイトが遅くなるってママには嘘をついた

桜稀さんはまだ入院してる

拒食症だったんだって
多田野先生のストレスから食事がのどを通らなくて

入院した当時は大変だったみたい

今はすっかり元気になって
私は週に一回のペースで桜稀さんに会いに行っていた


「あ…指輪ですか?」

桜稀さんの薬指についているダイアに目がいった

桜稀さんは左手の薬指を見ると、幸せそうに微笑んだ

「恵(めぐむ)がね、くれたの」

恵さんとは、王子が『山崎』と呼んでいた男性のことだ

「ずっと好きだったって言ってましたよ」

私が椅子に座りながら言うと、桜稀さんが驚いた顔をした

「え? 恵がそんなことを?」

「はい! 多田野先生と結婚するって決まった時は
桜嗣を呼び出して、一晩中飲み明かしたって」

「嘘! 私、聞いていない」


< 122 / 212 >

この作品をシェア

pagetop