わがままモデル王子は危険な香り
「た…ただいまぁ」

よろよろしながら家の玄関で靴を脱いだ

ヒールが憎い
つま先とかかとに靴ずれができていた

気合い入れ過ぎた……

玄関でそのままごろりと横になった

「莉緒?」

ママが居間から顔を出した
パジャマ姿のママが心配そうに私の顔を見ている

「ママ…疲れたぁ」

「夕飯は?」

「食べてないけど…とりあえずいらない
眠いよ
新しい部署に異動したんだけど
ちょー、大変
めまぐるしい一日だったよ」

「それは御苦労さまでした」

ママがにっこりと笑った

「昨日のデートは?
うまくいった?」

私がほふく前進をしながら自分の部屋に入ろうとする

「そのうち莉緒にも紹介したい」

「お? そこまで進展?」

ママの顔が赤くなった

「莉緒は……まだ好きなの?」

ママが言いにくそうに質問してきた

「うん、好きだよ」

ママの顔が曇る
わかってるよ

大丈夫
付き合わないよ

仕事以外は桜嗣と会わないから

ごめんね
心配ばかりかけて

「もうダメ
今日はここで寝る」

私は廊下に顔をつけるとそのまま瞼を閉じた

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