わがままモデル王子は危険な香り
私は戸倉さんに指定されたホテルに行った

携帯でホテルに着いたことを知らせると部屋番号を教えられ、そこに来るように言われた

なんかすごく嫌な予感がする

胸の中で、赤信号が点滅している
行くなって言っている

でも仕事だから

仕事のことで話があるからって言われたから

私は部屋の前に行くと、呼び鈴を押した



一度、押したけど何の応答もなかった


あれ?
部屋番号を間違えた?


私は部屋番号を確認する

戸倉さんに言われた数字と同じだ

もう一度、呼び鈴を押した


「んだよ、うるせーな」


ボクサーパンツ姿の王子がドアを開けた

「あれ? 莉緒…?」

王子が不思議そうな顔をした

「社長に聞いた?」

「ううん、戸倉さんに……」

呼ばれたの、と続けようとして開いた口がそのまま固定された

バスルームらしきところから、戸倉さんがタオル一枚で出てきたのだ



理解した
戸倉さんがやりたいことを

王子は私のモノよ
そう言いたいのだろう

実際、どういう関係か知らないけど

私はここで尻尾をまいて逃げたくない

堂々としなくちゃ

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