闇夜の数だけエゴはある
手にした煙管を銜えて一服する。

しとねは戦闘の間にも煙管を手にしたままだった。

もう片方の手だけで『旋』を放つ。

煙管を握った手は遊んだまま。

この辺りにも彼女の『遊び』が伝わってくる。

「さて…あんたの狗か艶か…どっちが勝ったにせよ、そろそろお遊びは終わりにしないといけないね。そうだろう?」

しとねの手から煙管が離れる。

そしてそれが床に落ちるまでの僅かな時間に。

「うぁぁあぁぁあっ!」

見えない打撃が私の全身を削ぎ落としていく!

『旋』!

軌道、射程ともに通常の打撃では有り得ない、デタラメな攻撃が私の体を削っていく。

煙管が床に落ちる頃。

「ぐ…ぁっ…」

私はしとねの前に跪いていた。

まるで屈服したかのように。

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