CURODO

朗報

「失礼ねー。あたしのパパはいいマフィアなんだから人殺しなんかしないって言ったじゃない。」
「じゃあ、あの如月ってやつは・・・。」
「ふふっ、如月はね・・・」
 と意味深な笑みを浮かべた真矢はどこか楽しんでいるようだ。
「とってもステキなところで修業しているわ。」
「とってもステキなところ?」
「そうよ。今頃は可愛いゴリラの部下でも従わせて楽しんでるんじゃない?」
「お前、アフリカに飛ばしたのか!?」
「さあね?」
 俺の頭の中では、アフリカでゴリラと仲良く戯れている奴の姿が浮かんだ。可哀想に。
「というのは冗談で、本当はアフリカで密林者から守るためのボランティアをさせているの。」
「へぇ。」
 しばらくの沈黙の後、ふと思い出した。
「そういえば俺の強盗の話どうなった?何か聞いてないか!?」
「あぁ、それなら・・・あなたはその罪に一切問われないらしいわよ。」
「え!?」
 そんな馬鹿な。だって、顔も隠さずに店に入ったんだぞ!?
「防犯カメラに俺の顔が映ってると思うんだけど・・・。」
「あぁ、あれね。如月が防犯カメラに細工していたの。」
「何で如月が?」
「あの日、本当は如月があたしを誘拐するつもりだったらしいの。あたしに宝石を見せて油断している隙に誘拐する予定だったんだって。でもね、想定外の出来事が起こったの。」
「想定外の出来事?それってもしかして・・・。」
「そう、あなたよ若木。あなたは如月があたしを誘拐する前に誘拐しちゃったの。でも、防犯カメラにはあなたは映ってないから証拠がないのよ。」
「そうだったのか。」
 良かった。ほっとした。

< 19 / 21 >

この作品をシェア

pagetop