マジックストーン

 不意に神崎先輩と目が合い、あっ、と思ったときには、もうすでに、神崎先輩の腕の中だった。

「優衣ちゃん……泣かないで」

 言われるまで気付かなかった。私、泣いてる。

「……せ…ぱい。それ、な……に?」

 震える指先で、神崎先輩の足元、上履きの下にあるものを差した。

 神崎先輩の反応だけで判断するなら、いつもはにこにこしてるあの神崎先輩を動揺させるくらい攻撃力があるものなのかな?

 例えば、秘密基地の鍵とか?

 ――だったら、ミシャなんて潰れるような音なんてしない。

 床に落ちるとカランと鳴って、踏み潰すとミシャって音がなるものなんて、この世にある? なんだか、高校生向きのなぞなぞみたい。分かるようで、分からない。実際分かってしまえば、納得出来る答えなのに。

「これは――」

 もし、上履きの下にあるものを神崎先輩が教えてくれなかったら。その時はきっと、私には言えないようなもの。はたまた、私が知らない、あるいは無関係のもの。

 じゃあ、教えてくれた時は――

「――盗聴器」

 ――私にも関係があるってことなの?

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