君色

「北斗…?」


気がつくと、優しいキスの雨はパッタリとやんでいて

北斗はベットの隅っこに腰掛け、うつむきながら身体を震わせている。




「ごめん…樹里…ごめん……っ」

「……泣いてるの…?」




声を殺して泣くのは、北斗の悪い癖だった。



あたしは、その姿を見るたびに、どうしようもなく悲しい気持ちになる。




北斗の背負ってきたものが、お前なんかに軽くできるもんかって


そう言われてるみたいで…。




「おいで…」



あたしは両手を広げて、優しく北斗に微笑みかけた。



あたしの心はどうせ、キズだらけなんだから、これ以上キズが増えたって大丈夫。



その腕に北斗の頭を抱えながら、自分でも信じられない言葉を口にしていた…。



「誕生日を祝ってくれた、お返し」



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