Memories - 年の差恋愛 -

名残惜しそうに離れた手は、そのまま私の手を掴んで。

ゆっくり発進した車は、あっという間に家に到着。

車を降りようとしたら制止されて、わざわざ助手席側まで回ってドアを開けてくれた。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。これからどうぞよろしく」

そっと触れた手は、ぎゅっと握り返してもらえて。

たったそれだけのことなのにすごくうれしい。

「おやすみなさい」

私が門に入ったことを確認してから車を発進させた飛田さんを見送り、家の中へ入った。

「ただいまー」

「おかえり」

リビングへ顔を出すと、テレビを見ているお父さんとお母さん。

お母さんが顔を私のほうにむけてにっこり笑っていて。

母親って、こういうときすべて見透かしているんじゃないのかなってすごく思う。

いつまでたっても、お母さんには頭が上がらない理由の一つかも。

「お風呂入れるわよ」

「あ、ありがと！」

なんだか恥ずかしくて、慌てて部屋へ入る。