20歳の私へ【短編】
パサッ

手紙を閉じ 封筒へしまう。


ねぇ、昔の私

アタシね、一樹に告白することさえ

出来なかったよ…。

勇気がでなくて

出来なかった……。

でね、一樹……

気持ち伝える前に

死んじゃった…。

想い聞いてもらう前に

天国に行っちゃったよ…。

アタシの弱い心のせいで

何にも言えないまま

終わっちゃったよ…。

昔の私、ごめんね。

弱くてごめんね。

アタシ、一樹のこと

ちゃんと本気だったよ…。

嘘じゃない。

大好きだった。

正直言って

今も好き。

敦司とは遊びじゃない。

本気だよ。

でもね、怖いんだ…。

好きって言わないと

一樹が本当に消えてしまいそうで……

怖いんだ…。


「愛魅……これ。」


涙で顔をぐしゃぐしゃにしてるアタシに

駿が何かを渡してきた。

手紙だ…。

「20歳の僕へ  一樹」

涙が邪魔して

よく見えないけど

確かに見えた。



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