Cold Phantom [前編]
二章 Take five
※※※※※※

「…」
病室に戻った俺は今日の分の調べに取りかかっていた。
2ヶ月に一度のちょっとした仕事の筈だった。
だが、今日はいつにも増してパソコンとにらめっこする羽目に陥っていた。
正直、こうしてパソコンの前に座る前から異変はあった。
あの診察の時だ。
何時もなら軽い睡眠時に脳波を調べ、何時もの様に安定した結果に安心していたのだが、今回は違っていた。
脳波を調べている途中は彼女の以前の記憶がぶり返し、何時も彼女はそれに苦しみながら診察に協力してくれた。
辛い過去があったに違いないとは思っていたが、今日はその確信とも言うべき所をついてしまったのだろうか、苦しみ方が尋常では無かった。
異常な脳波を放ち頭を押さえながら仮眠中にも関わらずのたうち回ったのだ。
直ぐに診察を止め彼女を起こした時、間伐入れずにその部屋を出ていく物だから俺は焦った。
急いで追いかけたが、玄関近くのトイレで彼女は激しく嘔吐していた。
勿論診察は中止、激しい頭痛にも陥っていたようで、頭痛薬の投与も余儀無くした。
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