Cold Phantom [前編]
※※※※
学校が春休みに入って1週間と数日がたち、もう暫くすると学校も始まる。だからと言って私が「今日」学校に行く理由は無い。なのに私は校門前に足を止めている。
桜の花びらが床を華やかに染め無機質なアスファルトの道がまるでピンク色の絨毯のようだった。
いつも見ていた校門が、少しばかり違う物に見えたのは実はそれだけではない。
見知らぬ人々が学校に入っていく、そんな違和感のある風景が今日の学校にはあった。それもそのはず、今日は合格発表の日。見知らぬ人々の集まりはその為に来ているのだ。まだ始まったばかりなのか、校門に入って行く人は多いが出ていく人は一人も見ない。そんな校門を何気なく見ていると、不意に私の背中を軽く叩かれる。誰なのかなんて解っている。私が校門前にいる理由を作った友達だ。
「おはっ、約束通り来てくれたのねぇ祥子♪」
続けざまに肩をニ・三回叩きながら私の前に顔を出してそう言う。私とは対象的な性格、かなり活発な女の子で私の数少ない友達…
「私はただついていくだけだよ?みーちゃん」
みーちゃんこと美咲ちゃん。私の友達でありその性格に対する憧れの対象だった。何かと物静かな私の唯一の支えになってくれるそんな友達。
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