Cold Phantom [前編]
事の始まりは一年前…
中学3年に上がりそろそろ進路を考えていかねばならないそんな時期の事だ。
「猿ぅ、ちょっと良いかぁ?」
「うぃッス、何ッスか?」
その年の入学式が終わりまだ一週間と立たない時期の事だ。
放課後の昼下がりの廊下、オレンジ色の日差しが窓から入りだすあの風景は未だに忘れる事が出来ない。それほどあの時の会話は衝撃だったのだ。
俺の名前を呼んだのは進路指導の先生、その頃俺の進路は近場の2流高校と決めていて、地元中学生の大半はそこになる事が多かった。
俺の学歴も見るも無惨なものが多く、その高校以上は難しいものだと思っているし進路指導も解っている筈である。
だから正直俺としては凄く意外だった。
「猿は進路をあそこに決めてるんだよな?」
「そうッスよ、って言うかそれしか無いっしょ?」
「そっか…」
「…?」
何か少し歯切れが悪い、いったい何だと言うのだろうか?少し間を開けて再び話し始めてきた。
「あの高校で何かやりたい事とかあるか?」
再び訳のわからない話が切り出された。要領を得ないのも相変わらずだ。

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