Cold Phantom [前編]
特別美人と言う訳ではない…わかる人にしか解らない可愛さと言うやつだ。
今まであまり意識しなかったが、こう言うのを好みのタイプと言うのだろう。
笑顔でタイプを判別する辺り、顔で判断しているみたいで何だか少し自分が嫌になる。
だけど…
「俺だって男だから仕方ないよな。」
そう、ポツリと呟いた。

先輩の事を考えていたせいだろうか、帰りの下足室で偶然先輩と出会った。
なんと言うか、安いドラマの様な偶然だった。何か意図的な物すら感じてしまう。
「先輩、もしかして待ってたっすか?」
「あはは…全く同じ事考えてたみたいだね。」
先輩も同じ事を考えていたようだ。
そう考えたくなる気持ちは良く解る。
いや、そんな事よりも…。
(この状況、どうしようか…)
この突然の出来事に次の行動を決めかねてしまう。
ここは男として帰り道だけでも誘うべきなんだろうか…。
なんて思っては見るものの、それこそ自意識過剰な対応では無いだろうか…。
そう思われるのが嫌で決めかねていた。
でも、その心配が無意味になるのは先輩の思わぬ一言があってからだった。
「ヒロ君、一緒に帰らない?」
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