僕にキが訪れる


―――見られた。




気付いた瞬間、駆け出していた。


「鈴木君!?」


叫ぶ声が聞こえた。

けれど、振り向かなかった。



振り向けなかった。



悲鳴を上げ軋む関節を無視して、僕はただ無心に駆けていく。


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