僕にキが訪れる
早口だった口が、徐々にゆっくりになっていき、そろそろ時間かな、と腕時計に目を向ける委員長。

腰を浮かせようとする彼女に向かい、僕はゆっくりと口を開いた。


「ま……って」


ぎょっとして、委員長がこちらを振り向く。

それはそうだろう。

何せ口を開いたのは、2週間ぶりだ。


「す、ずき、君……?今、しゃべ……?」


驚きを隠せない様子で、口をパクパクと、金魚のように開いてみせる。

その様子が、不謹慎だけど、可笑しくて、僕は笑いながら、自分の体の具合を確かめた。



指先。うん、動く。



肘関節。あんまり自由は利かないが、多少無茶をすれば動くだろう。



足。動くか? ……いや、動かしてみせる。



少しずつ、それでも確実に、僕の体は動いて見せた。



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