虹色パウダー





「淳平、すげーな」



兄貴にこう言われた日のことを今でもはっきり覚えている。




小学校5年の時、地区の代表に選ばれた俺を兄貴は褒めてくれた。




勝ったわけじゃないけど、俺は兄貴に勝てたと思った。


比べられるのはうんざりだ。



だって、どうせ俺は兄貴と同じフィールドでは戦えない。






俺は、サッカーの才能がある。


そう信じて、そこそこ練習した。


俺よりももっと真剣にサッカーをしている仲間もいるのに、俺の方がうまかった。





だから、俺は自分を「天才」だと思ったんだ。






< 238 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop