男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
先生は、この間とは違って真面目な顔をしていた。
「これが事実だとしたらかなり難しいでしょう」
優しく、でもはっきりと告げられる事実。
どういう……意味?
うまく頭がまわらない。
私がこれまで散々やって来た乱れた生活のせいで……妊娠できないんじゃないの?
よく一回の仲良しで精子何億匹が……なんて言葉を聞いたことがあると思う。
それが少ないと乏精子症と呼ばれる。
それでも。
実際は1000万匹ぐらいはいたりする。
そんだけいれば十分でしょ?って。そう思うかもしれないけど現実はそんなに簡単ではない。
だから1000万匹の結論だって子宮へ直接入れる人工授精の選択がベストだ。
だけど、リュウジの場合は……。
「私は産婦人科の医者なので専門外ですが」
そう前置きして先生は言葉を続けた。
「見えないんですよ」
見えない、その言葉が意味する所を私はまだ分かっていなかった。