怪盗ブログ
試合で疲れた部員たちはシャワールームで汗を洗い流すと、後片付けをする怪我人マネージャーを置いてどんどん帰って行った。



怪我人を労るのなんて最初のうちだけですよね。

いいんです。別に。



やっと片付けを終えた頃には辺りはもう真っ暗になっていた。


あたしも早く帰ろうと、急いで体育館の鍵を掛け警備員さんに鍵を返す。


左手で伸びをしつつ校門まで行く。

マネージャー業も楽ではない。
第一自由の利かないけが人だし。

いいんですけどね、別に。
あたしが自分で引き受けたことですしね。

と、ぶつぶつ言いながら校門まで行くと、男子部の副部長がそこにいた。



「何してるんですか?」


「片付け終わったのか?」


「はい」


あたしが答えると副部長は少し下を向いて、

「こんな時間に女子1人で帰すわけにはいかないからな。かりにも内藤は怪我人だし」


や、優しい!

さすがは副部長。


あたしはさっさと帰って行った高瀬君の後ろ姿を思い出し、改めてむかっとした。


このくらいの気配りが出来る人じゃなきゃ副は務まんないよね。


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