不良×依存症


* *


央がいなくなった教室には、ざわめきが生じる。


「…お前ら…何があったか知らんけど」


焦点のあわない瞳をした陸の肩に、仁が手を置く。



「野球はやめんなよ。あんな奴ほっとけよ…。央のいってる事、ムチャクチャすぎだって」


「そうだよ、他の部員を裏切るような事は絶対しないでよね!」


仁に続いて、明菜がそう言った。


「…俺、バカみたい。」



震えた唇で絞り出した一言。



「ただの嫉妬なんだ。自分の感情を貫きすぎて、酷い言葉ばっか言ってしまった」


憧れだった弥生さんにも…。


央にも…。



「でも、あんなのもう捨てろよ!あんなの好きになんな!」


「うるさいっ!」


仁の言葉を遮るように、陸が怒鳴った。



「俺のことをいくら酷い事言ってもかまわん…。だけど」


陸が仁を睨む。


「央の愚痴だけは言うな!お前なんかに央の何がわかるんだよ!」


好きな人の悪口を言われる程、残酷なことはない。



「別に野球を続けるか否かは、俺が決めんだよ!」


央の次は、陸が感情を剥き出しにする。



「央が、野球をやめろというのならば…」
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