不良×依存症


なっちゃんが叫んだ。


「弥生さん…」


「仲間を信じることはできねぇの?」


なっちゃんがそう言った。


仲間を信じる…。

それは、チームにとって一番大事なことだ。


仲間を裏切ったら、話にならない。



「俺さぁ、思うよ。仲間信じないと、野球楽しくねぇんだ」


……なっちゃん。


そっか。

なっちゃんは仲間だと思ってた人たちに裏切られたんだ。


「でも…、悔しかったんです…。」


「その気持ち、すっげーわかる。けどな、試合はお前一人でやってるわけじゃねぇ。だから、もう後悔ばっかするような事すんな」



なっちゃんの言葉はとても重みがある。


これは野球をやっている人たちだけに共通するわけじゃない。


全ての人間に共通する事だと思う。



「……まぁ、俺が言うことじゃないけど」


「いや、弥生さんのおかげで少し気が楽になれました。ありがとうございます」




なっちゃんが笑った。


試合には負けた。


負けたけれど、陸はまた何か大きく成長したような気がする。


負けたことで、学ぶことってたくさんある。



そして彼はまた、遠い存在になっていく…。


< 266 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop