不良×依存症


「たまたま根性焼きを見ただけだよ。俺はそこまで変態じゃない」


…そこまで?

蓮兄の言葉に引っ掛かったが、あまり気にしない事にした。


「なっちゃん、桜庭海斗の弟なのにね」


あんな爽やかなフレッシュ兄がいながらも、弟は落ちちゃったんだから。


「別にそれは関係ないだろ」


うぅ。

悔しいけれど、今のは蓮兄のが正論。


「俺、今からちょっと寄るとこあるから。待っといて」


「えっ!?どこ行くの!?」


蓮兄は車のキーを取ると、あたしを見る。


「コンビニ。切れた」

それだけ言い残すと蓮兄は、弁護事務所から立ち去る。


あたしは今日の事件もあってか、怖くてドアの鍵を念入りに閉めた。


ていうか、切れたって何?

蓮兄には、自分の中だけで事を終わらすという最低な癖がある。


つまり、自分だけ納得するという何も言えない事実。


…両親は、そんな事ない。


ときどき蓮兄だけ、誰の遺伝?と疑いたくなるような癖などがある。


…まさかね。


「蓮兄と、あたしはちゃんと血の繋がった兄妹よ。そんな事あるわけないじゃない」


頭に焼きついた幻想を振り払おうと、頭を激しく振った。


そしてあたしはなっちゃんをチラッと見る。


なっちゃんにそっと近付いて、真下から見下ろす。
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