不良×依存症


「酒巻意味わかんない。さっきまでメイドは無理だろーって言ってた癖に、今度は何で残念がってんのよ」


明菜から逃げ切った酒巻は、陸とあたしの間に隠れるようにしゃがんでいる。



「いやいや、俺じゃなくて。陸の方」


酒巻は陸を指しながら、何やら意味ありげの表情を浮かべた。




「は、俺?」

陸は自らを指し、首を傾げる。


つられるようにして、あたしも首を傾げた。


「うん。陸は、央のコスプレ姿をいつも見たがってるからね」


あたしのコスプレを、陸が見たがってる…?


陸は顔を一瞬にして真っ赤にさせ、口をパクパクさせていた。



「やめてよ、陸。あたしそういう趣味ないし…。自分の趣味をスキナヒトに押し付けないで」


「は…ッ、はぁ!?お、俺もそういう趣味ないわ!しかも何だよ、ス、スキナヒトって!」


裏声になったり、噛んだりする陸には嘘はつけないようだ。




「素直なんだか、素直じゃないんだか…」


酒巻が肩をすくめた。


「きっと央が、野球頑張ってとか語尾にハート5つくらいつけながら言ったら、こいつ鼻血出すぞ」


「き、キモイ!」


あたしは大袈裟にブルブルと身体を震わせた。


「お、お前ら…」


陸が赤面したまま、睨む。


「言いたい放題しやがってー!」


陸の爆弾は見事に投下成功となった。

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