不良×依存症


「…こ、今週の土曜日…」


「ん?何かあるの?」



「今週の土曜日?あー、激励会があるよね。総体の」



明菜がポンッと手を叩き合わせて、ニコッと笑う。


「総体?ああ、もうそんな時期か」


だから、今、部活動があんなに盛んなのね。



「学園祭もあって総体もあって、部活動生は大変だね」


「帰宅部のアンタ等は羨ましいね」



理不尽な嫉妬の目をした明菜に、あたしと酒巻は睨まれる。



「え、野球もあったっけ?総体。」


明菜がそう言いながら、首を傾げる。


「野球は甲子園予選だろ」


そうか。


酒巻の言葉にあたしは頷いた。


ここの野球部は、全国の強い連中が集まってできた強豪チームなのだ。


そして、陸も関西からたった一人で上京してきたのだ。


……野球の為に。



「じゃあ、激励会はないの?」


「いや、あるだろ?その激励も兼ねての激励会だから」


ふたたび、明菜の疑問に酒巻が答える。




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