わたあめ―kimi to hajimete―

私のせいで…



「待たせてごめんなさい。」


走って来たから少し息が上がっていたが、待たせていたことには変わりないからとりあえず謝った。なんだか今日はこいつに、神田春哉に謝るかお礼を言ってばかりな気がする。



「いいよ。ゆっくりで良かったのに(苦笑)」


そう言った神田春哉は私服だった。



「夜行バス、
もう来るから預かってくれてた鞄頂戴。」


このバスに乗り遅れたら歩いて帰るしかない。
それは嫌だ。


「送るよ。乗って!」


そう言ってすぐヘルメットを渡された。


は!?


「いいよ。そこまでしてくれなくて。今日も学校だし、帰りなよ。」



送る。ということは、
家がバレるというわけで、
もしかしたらアキと住んでいることがバレてしまう。



(それだけは避けなきゃ―。)


そんな私の考えなんて知るよしもなく、


「ダメ。
女の子をこの時間1人で帰すのは俺が嫌だ。」



(あんたの気持ちはどうでもいいの――!!)



『間もなく、〇〇行き発車致します』


アナウンスが流れた。


(ホントに間に合わない!!)


「あのねぇっっっ!!!」


「ほら、乗って!
鞄返さないよ??」


…………っっっつ!!!


夜行バスが発車してしまった―――――。
< 41 / 237 >

この作品をシェア

pagetop