わたあめ―kimi to hajimete―


ガチャッ―


突然、扉が開いて声が聞こえてきた。


「春哉!
今何時だと思ってるの!!
こんな時間までどこにっ…って…えっ…」




(もしかしなくても、
お母さん……?)



目元が神田にそっくりだと思った。




「ただいま、母さん」



そう言いながら、
神田は立ち上がった。



瞬間――



バシッッッ!!



目を疑った。


神田がお母さんに殴られていた。

「このバカ息子!!!
女の子連れ込んで泣かすなんて!!!そんなふうに育てた覚えはないよ!!!」




(………えっ!?)





「ちがっ、誤解だ!!!」


「なにが違うんだ!!
おまけに女の子を殴るなんて!!!」



凄い…神田がたじろいでる…。


思わず魅入っていると今度は私のところにお母さんがやってきた。


「ゴメンね、
ウチのバカ息子がヒドいことして…根はいい子だから見捨てないでね。」




それを聞いて思わず吹き出した。



吹き出した私を見てお母さんはポカンとし、神田は溜め息をこぼしていた。
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