オレの彼女はかぐや姫
オレは
カグヤの気持ちを
落ちつかせるため
できるだけ
優しく
「とりあえず
そこから
降りよっか」

声をかけた。


すると
カグヤは
無言で
しゃがみ込んだ。

「携帯電話が
通じませんの…」

彼女の声は
涙まじりだった。

「わたくし
帰れません…
つながらないのです…
爺やの…
携帯電話に…」

「わかった。
とりあえず
そこから
降りよう。
それから
先のことは
考えればいいし」







次の瞬間
オレの腕の中に
カグヤがいたんだ!
なんで?
瞬間移動?

オレは
混乱していた。
だけど

「きっと大丈夫だよ」
なんて言葉が
口から
飛びだしたりして
自分でも
よく
わからない気分だったんだ。

カグヤは
そっと
オレの腕から出て
ベランダの手すりに
つかまりながら言った。

「わたくし
こっそりお家を
抜け出して来ましたの。
わたくし
父上のお顔も
母上のお顔も
見たことございません。
せめて
ひいお祖父様に
会いたいと思いまして…」
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