みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~



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バシャ…バシャ…バシャ…

競泳水着姿のウチはクロールで25メートルプールをただひたすらに何往復もしとった。

何も考えんようにオツムん中をカラッポにしてたさかい、何往復かカウントもしてへん。


ココは小さな町やさかい学校も、病院も、映画館も、バス停も、海も、どこに行っても何を見ても各務兄弟とも思い出がゴロゴロしとる。こないな環境にあっては忘れようとしても忘れられるはずなんてあらへん。

どないカラッポにしようとしても、一葉のことがオツムに浮かんで離れようとせぇへん。

もし一葉と絶交せぇへんやったら、ウチはきっと兄妹といっしょに海に行ってたはずや。

ウチがいっしょなら海に落っこちた各務くんを助けることかてできた思うし、もし各務くんを助けたんがウチやのうて一葉やったとしても、力尽きた一葉のことをウチが助けてあげることかてできたかもしれへん。

そない思うと、スイミングスクールのプールなんかでムダに何百メートルも泳ぎ続けとることが、ホンマ虚しいし、こんなところでなにやってんねやって思う。


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