スカイ・フラワー
あおい屋
「ここな。前は民宿だったから部屋はちゃんとあるし、作ってくれる飯も最高だから心配すんな」

「…あぁ」

確かに隣りの別荘程ではないけれど、そこら辺の家よりは大きい。店頭には花が綺麗に咲いていて店内にも所狭しと並んでいる。

そして、二階の窓のすぐ下には【あおい屋】の看板がぶら下がっていた。

俺は山地の後を追うように店の奥へ入っていった。

「真弓さーーん!幹也だよーーっ」

山地は入るなり大声で中の人を呼んだ。すると、すぐ左にある階段から誰かが降りてくる音がした。

「あら!幹也早かったのねー」

降りて来た女性は想像をはるかに超えて若く見えた。スラッとした体にエプロンをして、長い髪を後ろで結わえている。

「御邪魔しまーす!」

「三枝 香です。お世話になります」

「あぁ!幹也のお友達ね?宜しくお願いします!葵 真弓です!真弓さんって呼んでね!」

「はい」

軽く返事すると横にいる山地に小声で俺は聞いてみた。

「なぁ…真弓さんってお前の叔母さんだろ?かなり若くないか?」

「そうか?お袋は三女の長女でさ。真弓さんは三女の末っ子ってわけ。まだ20代だよ」

「マジ!?ヤバい綺麗だなお前の家系」

「なに?」

「三枝が真弓さん、綺麗だってさー」

「まぁ!お世辞はいいわよ?」

真弓さんは少し照れてニコッと笑った。勿論、綺麗なのはお世辞なんかじゃない。


< 11 / 104 >

この作品をシェア

pagetop