スカイ・フラワー
こうして夏は始まる
…夏休み。

学生である以上、この休みを嬉しいと感じない者はおそらくこの世にはいないだろう。

そして、その長期休養も前日に控えた今日。

山地の異常なテンションに、既に俺は夏バテ気味になっていた。

しかも、今回の山地は夏休み前のテストのデキが春のテストよりもよろしかったらしく、上機嫌だ。

「あのさ。呼ばれてるぞ」

「あっ!はいは~い!」

俺は密かに山地のテストの点をみせてもらったが、どれも60点代だ。

「やったぁー!!みろよコレ!」

もはや、公に公表する勢いだ。

―英語Ⅱ・70点―
これはなかなかの点だ。俺はというと…63点。

山地に負けたのが相当ショックで俺は暫く沈黙を続け、山地は一人で騒いでいた。



「千広ぉ…。どうだった?」

夏葉はトーンの低い声で言った。夏葉の後ろの席は千広である。

「うん!まぁまぁかなー」

チラッと点数を見る。86点…。

「うわっ!千広頭良いー!」

「ちょっ…!声大きいよー!」

「それに比べて、三枝はダメね」

「…急にフラないでくれるかな?同類さん」

夏葉、―英語Ⅱ・65点―

「な、何で分かるのよっ」

「勝手に人の覗くなんて趣味の悪いこった」

「人の事言えないじゃないのよ!しかも私の方が2点上だもん」

「2点も3点も大してかわんねーよ」

こんな事をしている間に、いつの間にか休み時間にはいっていた。


…ーーそして、テスト返却が終わると体育館で夏休みの過した方についての話を聞かされた。


教室にてー…

「それじゃあ、文化祭の準備も夏休み中に進めておけよ?ちゃんと見にくるからなー」

文化祭は夏休み開けの最初の行事であり、俺らのクラスは定番の『お化け屋敷』をやる事になったのだ。

その名も『最凶・恐怖の館』。あまりにもベタなネーミングだなと思ったが、何故かクラスは満場一致で決まった。

因みに、山地命名である。
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