スカイ・フラワー

「やっぱりな～。三枝は勘違いをしているな」

「は？」

「今時、電車で海って遅れてんのー！」

何故か山地はえばって言った。
俺は電車で海に行く事のどこが、この世の流行に遅れているのか理解しがたかった。

「で、何？」

「やっぱ、マイ・カーでしょ！」

「……いつ免許取ったんだよ」

「チッ、チッ。俺ではなくて、マイ・シスターさ！」

人指し指を口の前で左右に振りながら言った。山地は、きっと『ルー○柴』の所々に英語を使うマネをしているんだなと俺は気付いた。

「何だよ。山地ってお姉さん居んのかよ」

「うん。今は一人暮らししてるんだ。そんで、姉ちゃんは海の家でバイトするんだって。そのついでにってわけ」

「へぇー。で、その姉ちゃんの車はあちら？」

俺は凄いスピードで駅前のロータリーを曲がってくる車を見て言った。

「ん？おぉ！その通り！」

俺達の目の前で止まると、ミニバンの中からは背の高いショートヘアーのお姉さんがサングラスをはずしながら出て来た。

「青春してる？少年達！」

山地ばりのヘンテコな第一声とともに現われた女性は素晴らしく綺麗だった。

「君が三枝 香君ね？ウチの幹也がお世話になってー。」

「いえ。こちらこそ。今日は宜しくお願いします。山地のお姉さん」

「礼儀正しい子ね。幹也とは大違いだわ。因みに、私は山地 名奈ですっ。宜しくね！」

「はい」