Secret Prince

寮へ

暫く待っていると、黒髪の少年が、遠くから俺の方に走り寄ってきた。
ごく一般の生徒とは、どこか違うようで、……異彩を放っているように見えた。
この学園に来たのは初めてだが、……妙な違和感と、自分でもよく分からない既視感を、
会って早々、俺に感じさせた。























「えっと、栗代君、だよね……?」




どうやら、さっきのインターホンの主とは別人のようだ。
だって、明らかに声が違いすぎるし。
でも、さっき、迎えに行くって言ってたような……。
誰かに迎えに行かせた、といった所か。


































「はい、そうです。
 えっと、……貴方は?」



ここでは、一応優等生ぶるつもりだから、言葉遣いには気をつけないとな。
なるべく目立たないように、息を潜めるようにしなければならない。
狡猾に、時に大胆にターゲットに近付くのが、俺の仕事におけるモットーだから。
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