盲目の天使

ノルバスの城の中で、もっとも日当たりが良く、

豪華なしつらえが施されているその部屋で、

王妃ソレイユは、もんもんとしていた。


目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた息子が、なぜ自分にはむかうのか。

つきつめれば、一人の娘のせい。


そしてその娘を連れ帰ったのは・・・。

自分の息子が王位につくのに、もっとも邪魔な存在である、腹違いの兄。



まったく、いまいましい!



ソレイユは、眉根を寄せて、ひとり何事か、考え込んでいた。


涼しげな風が、彼女の頬にやさしく触れたが、まるで気づくこともなかった・・・。











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