盲目の天使

「できたら、自分で着替えてみたいのだけれど」


リリティスの言葉に、ルシル以外の侍女は、皆目を丸くした。


「ご自分で、ですか?」


オルメが確認すると、リリティスは、はい、と小さく頷いた。


「目が見えなくて何もできないのでは困るから、少しずつでも、自分ひとりできることを増やしたいのです」


リリティスの言葉に、オルメは真剣な表情になり、

値踏みをするように彼女の姿を眺めた。




・・・カルレイン様が、今までお付き合いなさった方たちとは、ずいぶん違う姫君だわ。

目は見えなくとも、聡明な方のようね。



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