Bitter


挙式を終え、フラワーシャワーをくぐり抜け、写真をとったり友達と話したりしているうちに日が傾いてきた。


ドレスがあたたかい色に照らされ、彼を目で探した。
見当たらないので「ちょっと行ってくる」と、教会の中を覗きに行った。

客席の最前列から彼の足が見えた。

緊張が解けてのびているのだろう、
私は愛しくなってクスッと笑った。


『もー、せっかく皆いるのにー。たかせー。』


眠っているようなので、どうやって起こそうか考えながらそっと近づく。

ばっと抱きついてみようか。


『ふふ、たーか・・』

足を止めた。




椅子の下にしたたる、大量の赤い液を見つけたから。






『————・・・・・・。』










「翼をください」が、脳裏をよぎった。










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